質の高い看護職養成のための看護研究

平成19年度文部科学省特色GPに選定されました

質の高い看護職養成のための看護研究
~主体的課題発見能力を育てる学習支援~

近年、医療現場はもとより社会的にも質の高い看護師が求められ、専門職としての知識・技術だけでなく、物事の本質を見極める探究心を基礎教育の中でも強化 する必要性がある。医療現場においても、臨床看護研究の取組は大変重要視されている。専門職者として質を高めていくために、看護実践におけるさまざまな現 象や反応を興味深く観察し、その成果を直接的・間接的に患者のケアへ還元する臨床看護研究は不可欠である。しかし、一方で看護職者の離職理由の一つに、研 究への取組に対する負担感や苦手意識が挙げられている。研究方法論の基礎知識を習得させ、主体的・積極的に研究に取組む姿勢を身につけさせることが重要で ある。

特色ある大学教育支援プログラム (特色GP※)とは
大学が実施している「大学教育の改善に資する様々な取組」のうち、特色のある優れたものを選定し、その事例を広く社会に情報提供することで、今後の高等教育の改善・活性化に活用しようと文部科学省が平成15年度より取り組んでいる事業です。
※Good Practice

取組の特性

  • 教育効果への工夫
    学生の主体性に重点に置いた看護研究であるため、高い研究意欲を持って継続することができる。また、発表会に至る過程を通して、主体的に発言し行動することによって社会性とコミュニケーション能力、そして併せて協調性や責任感を身につけることができる。さらに、研究発表会では自己表現能力、プレゼンテーション能力の向上を図ることができる。
  • 社会性の涵養への工夫
    研究活動を通して、公文書の依頼や、対象施設との交渉など、多くの関係者との関わりを体験することになる。そうしたプロセスに自ら取組んでいくことによって、専門職者としての自覚や社会人としての態度を養うことができる。
  • 現代的課題への対処
    平成18年度から、さまざまな研究に関して「倫理チェックリスト」を作成し使用している。個人情報の保護に関する法令に沿って作成されたこのチェックリストは、倫理的配慮について学ぶと同時に、卒業後の臨床看護研究においても活用できる。

取組の概要

本取組は、3年間の看護基礎教育の最終的な学習成果として位置付けている「看護研究」の教育改善への取組である。臨床現場においても看護の質を高めるために看護研究は重要であり、研究的な知識や姿勢を基礎教育の段階で身につけることが必要である。この取組の特色は、
(1)昭和55年の開学当初から25年間継続。
(2)学生一人ひとりが関心のあるテーマを選定。
(3)担当教員は数名の学生を1年間指導。
(4)学生自ら研究フィールドを開拓・交渉。
(5)1人1編の論文を作成し集録集を発刊。
(6)研究発表会の開催・運営
など、これらの過程を学生全員が主体的に行っていることである。
本取組の効果は、専門職としての研究的態度や能力を育てるだけでなく、臨床現場での「問題解決能力の育成」や、自ら研究に取組むことでの「コミュニケーション能力の育成」、研究発表による「プレゼンテーション能力の育成」につながり、質の高い看護職を養成することにある。

選定理由の概要

「看護研究」の授業を中心にした教育方法の工夫ですが、長年の実績もあり、大変興味深い試みであると思います。実践現場において、研究的な姿勢はますます重要になっています。
こ の「看護研究」の取組によって、さまざまな効果(参加体験型の学習を通して主体的に課題を発見、その解決に向けての研究、関係部署との連携、社会性や礼 儀、マナー、文献にあたることなど)がもたらされていることを考えると、看護教育の基本をなすべき教科であることが改めて明らかになり、他大学にとっても 学ぶべきものが多い優れた実践だといえます。特に評価すべきことは「ランチョンセミナー」や「教育研究発表会」の実践です。教員が各自の研究課題を公開の 形で職場において発表することは、教員間の共通理解の形成に役に立ちますし、教員の質の向上につながります。また、このことなくしては学生の研究的姿勢の 教育はできないだろうと思います。